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7-1|大名茶の終焉 ~後継者の役割~|第7回 茶道の飛躍|江戸時代(前期)|茶道の歴史

全10回 茶道の歴史



三千家の家元が一列に並び着座する姿と、「茶道の歴史 第七回 茶道の飛躍 江戸時代(前期)」と記された掛軸が描かれた、大名茶から流儀茶道へと受け継がれる系譜を象徴する冒頭画像。


第7回 茶道の飛躍 (1/4)

 ― 江戸時代 (1603年―1868年) |前期 ―






❚ 茶の湯は“たしなみ”へと変化する

茶の湯は、どうやって“武家のたしなみ”から飛躍を遂げたのでしょうか。



天下人の時代が終わり、武家の文化として新たなかたちをとっていく茶道。



今回は、大名茶の終焉とその後の広がりをたどります。

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❚ 政治から文化へ、役割の変化


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江戸時代(1603年-1868年)を迎えると、天下は徳川幕府*のもとで安定し、それまで政治と密接に結びついていた茶の湯の政治的役割は次第に薄れていくこととなります。


千利休の死後、その精神を受け継いだ以下の大名茶人たちが徳川将軍家の「茶の湯指南*」として活躍しました。



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  • 古田織部 ……… 大名|重然|1544年-1615年|織部流開祖|利休七哲

  • 小堀遠州 ……… 大名|政一|1579年―1647年|遠州流開祖

  • 片桐石州 ……… 大名|貞昌|1605年―1673年石州流開祖

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しかし、特に文化的影響力の強かった『小堀遠州*』の死によって、「天下人の茶の湯」の時代は幕を閉じ、茶の湯は新たな段階へと進んでいきます。










❚ ​利休七哲と武家社会の茶


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新たに茶の湯の維持、発展に大きな役割を果たしたのが「利休七哲*」と呼ばれる千利休の高弟であった武家大名たちでした。(※選定される人物については諸説あり)



・細川三斎 ……… 大名|忠興|1563年―1646年|三斎流開祖|利休七哲 ・芝山監物 ……… 武将|宗綱|生没年不詳|利休七哲 ・蒲生氏郷 ……… キリシタン大名|1556年―1595年|利休七哲 ・高山右近 ……… キリシタン大名|重友|1552年―1615年|利休七哲 ・古田織部 ……… 大名|重然|1544年-1615年|織部流開祖|利休七哲 ・瀬田掃部 ……… 武将|正忠|1548年―1595年|利休七哲 ・牧村兵部 ……… 大名|利貞|1546年―1593年|利休七哲

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​​ 江戸時代初期、幕府もその体制を十分に成熟させておらず、諸藩大名家も経済的、文化的に安定した人材を求めていた時期でした。



こうしたなか、茶の湯は単なる趣味を超えた「教養」「人脈」「政治」「経済」の橋渡しの手段として機能し、諸藩大名家と豪商たちとの間を結ぶ重要な媒介となっていくこととなります。



茶の湯は、これまでの天下人における「権威の象徴」から経済や人脈を結ぶ役割と変化していった。











❚ 茶の湯の新たな広がりへ

「道」としての茶の湯は、武家社会において新たな機能を与えられながら独自の進化を遂げていきました。



教養と交わりの場としての茶の湯は、この後もさらに庶民層に広がりを見せていきます。



次回は、その民間への広がりと町人文化の中で育まれた茶の姿に迫ります。











登場人物


  • 千利休

……… 千家開祖|抛筌斎 千宗易(利休)|1522年-1591年|天下三宗匠|茶道の大成者











用語解説



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徳川幕府

―とくがわばくふ― 1603年に徳川家康が開いた武家政権で、江戸を拠点に約260年間続いた。江戸幕府とも呼ばれ、幕藩体制を整備し、戦乱を収めて長期の平和「江戸時代」を築いた。厳格な身分制度や鎖国政策を敷く一方、文化・経済も発展。1867年の大政奉還により終焉し、明治維新へとつながる。

茶の湯指南役

―ちゃのゆしなんやく― 将軍や大名に茶道を指導した茶人のこと。天下人の時代には、茶の湯が政治的威信を示す儀礼としても重視されていたため、指南役の地位は高かった。

小堀遠州

―こぼり・えんしゅう― 1579年―1647年。江戸時代初期の大名・茶人・作庭家で、遠州流茶道の祖。美意識に優れ、「綺麗さび」と称される洗練された美の世界を確立した。将軍家の茶道指南役や作庭も手がけ、桂離宮や南禅寺金地院庭園などの名園を築いた。茶道・建築・造園において多大な功績を残した文化人である。

利休七哲

―りきゅうしちてつ― 千利休に深く師事した七人の武将たちを指し、茶の湯の精神を学び広めた功績からそう呼ばれる。細川忠興、蒲生氏郷、織田有楽斎、高山右近、芝山監物、古田織部、牧村兵部がその代表。いずれも戦国時代を生きた名将であり、茶道の発展と武家文化への浸透に大きく貢献した。(選定される人物については諸説あり。)

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茶道具|中古道具市
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