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8-1|利休の茶道具|第8回 利休の茶道具|千宗易利休|抛筌斎

全10回 抛筌斎 千宗易 利休



千利休の人物イラストと掛物「利休の茶道具」を組み合わせた構成で、利休が新しいい茶道具の在り方を提唱したことを紹介する冒頭画像。

■ 第8回 利休の茶道具 ■

利休の茶道具



❚はじめに

「利休の茶道具」では、千利休*が生み出した茶道具やその美意識について詳しくご紹介します。



千利休は、茶道具においても華美な装飾を排し、機能美を重視した茶道具を考案しました。



その美意識は「利休好 (利休形)**」として受け継がれ、今日の茶の湯の世界にも深い影響を与えました。











❚わび茶の精神と茶道具の改革

利休は、それまでの「書院茶湯**」における華美な装飾を徹底的に排除し、簡素で精神性を重んじる「わび茶**」を大成させました。



その美意識は茶道具にもおよび「名物**」と呼ばれた「唐物**」の茶器を否定し、無駄を削ぎ落としたシンプルな――機能美**――を追求しました。



無地や木地の素朴な風合いを好み、色合いも黒や朱などの一色に統一し、余計な装飾を排した設計「利休好 (利休形)」として継承され、今日においても茶道具の基本形として受け継がれています。











❚樂焼の創出


千利休が生み出した茶道具の中でも、最も有名なもののひとつが樂焼**です。



樂焼は樂家初代/長次郎*とともに創出されたもので、特に「黒樂茶碗**」は、わび茶の精神を象徴する茶碗として、茶道における最上格の茶碗とされています。



樂茶碗は轆轤**を用いず、すべて手作業で成形されており、手に馴染む厚みと釉薬の光沢を抑えた落ち着いた質感が特徴です。



手造りならではの温かみと、深みのある――黒色――は、利休の求めた「わび・さび**」の精神を体現しており、その美しさと機能性の両面から高く評価されています。



また今日では、茶人にとどまらず、美術工芸品としても世界的に高い評価を受け、広く重宝されています。













❚茶道具を造る

利休は、茶碗だけでなく、釜・茶入・棚・台子などさまざまな茶道具を「わび茶」に適応させる形に改良し、新しい茶道具の考案、プロデュースをおこないました。



また、自身で茶杓や花入を削り、実際に茶席で使用していたことも知られています。



代表的な自作道具には以下が挙げられます。




・竹花入「園城寺」 ・竹花入「音曲」 ・竹花入「夜長」 ・竹花入「尺八」 ・茶杓「泪」 ・茶杓「面影」




これらは今日も大切に伝えられ、利休の美意識を象徴する作品として高く評価されています。









❚見立道具


利休の茶道具における大きな特徴のひとつとして「見立道具**」の活用が挙げられます。



漁師が使っていた籠を花入に転用するなど身近な器物や日常の器物を茶道具として見立てることで、日常と茶の湯の垣根を取り払い、自由な美意識を取り入れました。



この考え方によって、茶道具は必ずしも特別なものでなくてもよいという価値観が生まれ、日常にあるものを茶の湯の世界に取り込むことで、より自由で創造的な美の形が確立されました。



それは単なる転用ではなく、――物の本質を見極める――という利休の哲学の表れであり、実用性を重視した――用の美**――や、本来の形や機能を活かす――機能美――といった新たな価値観を茶道具に提示したのです。











❚茶道具がもたらす美


利休の名を冠した茶道具や、利休が考案した形状は、今日における茶道具の在り方に多大な影響を与えています。



とりわけ――シンプルで無駄のない美の追求――という利休の美意識は、茶道具にとどまらず、日本の伝統工芸や建築、さらには現代デザインにも深く通じるものがあります。



利休は、――わび・さび――に代表される独自の美意識を確立し、日本独自の茶道具の発展に大きく寄与しました。



また、道具の持つ――用の美**――や――機能美――を重視することで、実用性と精神性を両立させた美の哲学を打ち立てました。



その思想は「利休好 (利休形)」として多くの道具に受け継がれ、茶道の枠を超えて、日本文化全体の美意識や造形思想の根幹を成すものとなっています。



利休の茶道具は単なる器物ではなく、精神の形を宿した文化の結晶として、今もなお語り継がれ、敬われ続けています。











❚次回は・・・

次回の「9-1|利休の茶室|09.利休の茶室」では、千利休が創案した茶室空間に焦点を当て、その思想的背景や空間構成、用いられた素材や意匠について詳しく探っていきます。わずか二畳の空間に凝縮された美と精神、そして侘びの理念がどのように具体化されたのか、利休が理想とした茶の湯の場の本質に迫ります。









登場人物


  • 千利休|せん・りきゅう

……… 天下三宗匠|千家開祖|抛筌斎|千宗易|1522年―1591年


  • 樂長次郎|らくちょうじろう

……… 。











用語解説


  • 利休好/利休形|りきゅうこのみ・りきゅうがた

……… 利休が好んだ茶道具の意匠や形。簡素・質実・機能美に優れるものが多く、現代の茶道具に深く影響を与えている。


  • 書院茶湯|しょいんちゃゆ

……… 格式高く、広間で行われる旧来の茶会形式。中国風の装飾や調度が用いられた。


  • わび茶|わびちゃ

……… 。


  • 名物|めいぶつ

……… 。


  • 唐物|からもの

……… 。


  • 機能美|きのうび

……… 。


  • 樂焼|らくやき

……… 。


  • 黒樂茶碗|くろらくちゃわん

……… 。


  • 轆轤|ろくろ

……… 。


  • わび・さび|わび・さび

……… 。


  • 見立道具|みたてどうぐ

……… 。


  • 用の美|ようのび

……… 。










 


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