1-4|露地とは|露地の形式と構成|茶室と露地
- ewatanabe1952

- 10月28日
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更新日:1 日前
茶道の基礎知識

■ 茶室と露地 ■
露地とは
❚ 目次
❚ 01.露地とは
露地とは、茶室に付随して設けられる庭のことであり、単なる付属的な空間ではなく、「茶室」へと至るための重要な「道」として位置づけられます。露地は茶室と切り離された存在ではなく、一体となって構成され、人間世界から非日常の世界である茶室へと客人を導く役割を担っています。
露地を通るという行為そのものが、日常から心身を切り離し、茶の湯の世界へと歩みを進めるための儀式的な過程であり、亭主のもてなしの心を静かに伝える場でもあります。
「露地」という言葉は、もともと「路地」の字が用いられていました。これは、家屋と家屋の間を通る道や、建物同士を結ぶ通路を意味する言葉であり、また「道すがら」「通路」といった意味を持つ「路次」という表現も使われていました。
しかし、江戸時代(1603-1868)の中期頃になると、茶道の世界において露地が単なる通路ではなく、心身を清めるための場として強く意識されるようになります。
禅の思想と結びつきながら、「穢れを落とし、露のように清らかな心で茶室へ向かう場」という意味が込められ、次第に「露地」という表記が定着していったといわれています。
露地には、飛石、蹲踞、腰掛待合、植栽などが巧みに配され、客人が茶室へ向かうまでの間に心を鎮め、日常の喧騒から離れるための環境が整えられています。
飛石を一歩ずつ進む所作、蹲踞で手口を清める行為、腰掛待合で静かに時を待つ時間――これらすべてが、茶の湯の世界に入るための心構えを自然に導く仕掛けとなっています。
露地全体は、亭主のもてなしの心を映し出す場であり、「一期一会」の精神を象徴する空間でもあります。
露地は、茶室と一体となることでその意味をより深め、人間世界から茶の湯の世界へと心を移ろわせるための重要な構成要素となっています。
茶室に入る前からすでに茶の湯は始まっており、その第一歩を担うのが露地なのです。
❚ 02.露地 ―形式―
露地にはいくつかの形式があり、その中でも最も代表的なものとして知られるのが「二重露地」です。
二重露地は織部流開祖/古田重然織部(1544-1615)によって考案されたとされ、「内露地」と「外露地」の二つの空間から構成されます。
この形式では、客人はまず外露地で待ち、心身を整えたのち、「中門」や「中潜り」を経て内露地へと進みます。段階的に空間を移行することで、日常から切り離された茶の湯の世界へ、より深く導かれる構成となっています。
一重露地
読み:いちじゅうろじ 「内露地」と「外露地」の区別がなく、一続きの露地として構成される形式です。 千家開祖/抛筌斎千宗易利休(1522-1591)の時代には、この一重露地が一般的であったとされています。当時は「露地口」の脇に「板縁」や「簀子縁」を設け、客人がそこで「露地草履」に履き替え、そのまま茶室へと向かう形式でした。 また、この板縁や簀子縁を利用した待機の場が「腰掛待合」として機能しており、外露地・内露地の明確な区別を持たない露地形式を「一重露地」と呼びます。
二重露地
読み:にじゅうろじ 露地を「外露地」と「内露地」の二つに分けた形式です。 外露地は、腰掛待合を中心とする待機と心構えの場として位置づけられ、内露地は茶室とより密接に関わる清浄な空間として構成されます。 両者の境には「中門」や「中潜り」が設けられ、空間と精神の切り替えを明確に示します。 この二重露地の形式は、茶事の流れを整え、主客双方の精神性をより深めるための工夫として、織部流開祖/古田重然織部(1544-1615)によって体系化されたと伝えられています。
三重露地
読み:さんじゅうろじ 「内露地」と「外露地」の間に、さらに「中露地(なかろじ)」を設けた形式です。 三重露地では、外露地・中露地・内露地と段階的に空間が分かれ、客人は移動するごとに心を整え、精神を深めていく構成となっています。露地全体に奥行きと格式が生まれることから、より正式で格の高い茶席において見られることがあります。
いずれの形式も、露地を単なる庭としてではなく、「人間世界から茶の湯の世界へと至るための道」として捉える点に共通しています。
露地の形式を理解することは、茶の湯に込められた精神性と、亭主のもてなしの意図をより深く味わう手がかりとなるでしょう。
❚ 03.露地 ―構成―
露地は、茶室へ至るまでの「道」として機能し、日常の世界から切り離された別世界へと客人を導く空間です。そのため、単なる庭ではなく、亭主のもてなしの心や茶の湯の精神性を反映した特別な場として構成され、露地の中にはさまざまな意味を持つ要素が点在しています。
以下に、露地を構成する主な要素を解説します。
露地口
読み:ろじぐち 露地口とは、露地への入口を指します。 古くより茶室は「三居の躰~さんきょのてい~」、「市中の隠~しちゅうのいん~」と評され、日常世界から隔絶された別世界と考えられてきました。 そのため露地口は、日常世界の出口であり、茶の湯の精神世界への入口として位置づけられています。 一般的には露地の周囲に塀を巡らし、門や引き戸を設ける形式が多く見られますが、専用の「露地門」を構える場合もあります。
腰掛待合
読み:こしかけまちあい 腰掛待合とは、客人が亭主の迎え付けを待つ場所、または懐石後に一時的に茶室を退出する「中立(なかだち)」の際に腰を掛けて待機する場所を指します。 二重露地の場合、 ・内露地に設けられたものを「内腰掛」 ・外露地に設けられたものを「外腰掛」と呼びます。 座る位置は、茶室に近い方から正客、次客以下の順に座るのが習わしです、腰掛待合の下座側の柱には「棕櫚箒」が掛けられます。
棕櫚箒
読み:しゅろぼうき 棕櫚箒とは、青竹の柄に棕櫚の葉を巻いて作られた箒で、腰掛待合や雪隠、塵穴の周辺に飾箒として用いられます。 流派による違いがあり、 ・表千家 … 穂先を切り揃える ・裏千家 … 自然のまま用いる とされています。 本来は、亭主が茶事の都度自ら作り、客人を迎える心構えを表すものでした。
雪隠
読み:せっちん 雪隠とは、露地内に設けられた便所のことを指し、主に腰掛待合の近くに配置されます。 雪隠には二種類あり、 ・外露地に設けられる「下腹雪隠」 ・内露地に設けられる「砂雪隠」 があります。 砂雪隠には、投石と清め砂が詰められ、塵穴がある場合は青葉を一、二枚挿し、塵箸を添えます。 砂雪隠は、あくまで客人への心配りとして設けられたもので、実際に使用されることはありません。
中門
読み:ちゅうもん 中門とは、「二重露地」や「三重露地」において、外露地と内露地を仕切るために設けられる門です。 空間を区切ると同時に、客人の心を段階的に茶の湯の世界へ導く重要な役割を担います。
石燈籠
読み:いしとうろう 石燈籠とは、夜咄の茶事などにおいて、蹲踞や露地全体を照らすために用いられる照明具です。あわせて、露地の景観を整える要素としての役割も持ちます。 もとは仏教とともに伝来し、「献灯」として社寺に設置されていたものが、後に露地へ取り入れられたとされています。 形や寸法に特定の決まりはなく、多様な形式の石燈籠が見られます。
井筒
読み:いづつ 別名:雪井筒 井筒とは、井戸の地上部分に設けられた円筒状または方形の囲いのことを指します。井筒の上には竹の簀子をかぶせ、その上に銅製の釣瓶を置くのが一般的です。 植栽への水やりといった実用性に加え、露地の景観を彩る意匠的要素としての役割も担います。
蹲踞
読み:つくばい 蹲踞とは、茶室の近くに設けられ、席入り前に手や口を清めるための「手水鉢(ちょうずばち)」を中心とした一帯を指します。 構成要素として、 ・前石 … 手水の際に乗る石 ・手燭石 … 手燭を置く石 ・湯桶石 … 湯桶を置く石 が配置されます。 また、手水鉢の周囲には「海」と呼ばれる水落ち部分が設けられ、ゴロタ石を敷き、泡消しとして丸瓦を置くことがあります。
刀掛け
読み:かたながけ 刀掛とは、躙口の創案とともに設けられたもので、茶室内における「無刀平等」の精神に基づき、躙口脇に設置された刀を掛けるための棚を指します。 刀掛の下には「刀掛石」が設けられ、江戸時代(1603-1868)中期頃からは二段の刀掛石が用いられるようになりました。 今日では、実用よりも意匠として設けられることが多くなっています。
塵穴
読み:ちりあな 塵穴とは、露地内に設けられた穴で、枯れ枝や落葉、塵などを拾って入れるためのものです。しかし本来は、席入り前に己の心の塵を落とす場とされ、客人は塵穴を拝見してから茶室へと向かいます。 広間の茶室では角型、小間の茶席では丸型が用いられるのが一般的です。塵穴の中には覗石を置き、青竹の塵箸を添え、青葉を一、二枚挿します。また、付近には内露地用の蕨箒を吊るすことがあります。
露地は単なる庭ではなく、茶の湯の精神性を高めるために構成された重要な空間です。
客人は露地の各要素を通ることで、日常から切り離され、茶室という特別な場へと心を整えていきます。
それぞれの構成要素の意味を知ることで、茶の湯の世界観をより深く味わうことができるでしょう。
❚ 04.露地 ―道具―
-露地には、客人をもてなし、茶の湯の精神を表現するためにさまざまな道具が配置されています。これらの道具は単なる実用品ではなく、茶事の流れや露地の景観を整え、もてなしの心を具現化する役割を果たします。以下に、代表的な露地道具を紹介します。
棕櫚帚
読み:しゅろぼうき 棕櫚箒とは、青竹の柄に棕櫚の葉を巻いて作られた箒で、腰掛待合や雪隠、塵穴の周辺に飾箒として用いられます。 流派による違いがあり、 ・表千家 … 穂先を切り揃える ・裏千家 … 自然のまま用いる とされています。 本来は、亭主が茶事の都度自ら作り、客人を迎える心構えを表すものでした。
蕨帚
読み:わらびぼうき 蕨帚とは、内露地の掃除に用いられる小型の箒で、主に塵穴や蹲踞の周辺を清めるために用いられます。 竹の枝を細かく割ったものや、蕨の茎を束ねて作られ、細かな砂利や落葉を掃くのに適しています。 露地の静かな景観を損なわない、控えめな存在です。
塵箸
読み:ちりばし 塵箸とは、露地内の塵穴の脇に添えられる青竹製の箸です。枯れ葉や小さな塵を拾い、塵穴に納めるために用いられます。 客人は席入り前に塵穴を拝見し、心の塵を落とす意味を込めてこの道具を目にすることになります。 塵穴には青葉を一、二枚挿し、清らかな気配を整えます。
塵取
読み:ちりとり 塵取とは、露地の清掃時に落葉や塵を集めるための道具です。 竹や木など自然素材で作られることが多く、露地の景観を損なわないよう配慮されています。 使用後は目立たぬ場所に控えめに置かれ、あくまで裏方の道具としての役割を担います。
蹲踞柄杓
読み:つくばいびしゃく 蹲踞柄杓とは、蹲踞の手水鉢に添えられ、客人が席入り前に手や口を清めるために用いられる柄杓です。 竹製のものが一般的で、柄の長さや形状には流派による違いがあります。 蹲踞の構成要素の一つとして、機能と美観の両面を支えます。
露地傘
読み:ろじがさ 露地傘とは、雨天時に客人が濡れないよう、亭主が用意する傘です。 竹の骨組みに和紙や油紙を張ったものが一般的で、実用性とともに意匠性も重視されます。 雨の日には露地の風情を引き立てる存在となり、露地景観の一部としても重要な役割を果たします。
草履
読み:ぞうり 草履とは、露地内で客人が履く履物で、藁や竹皮などの自然素材で作られたものが用いられます。 一般的に、 ・男性用 … 少し幅広で、太めの鼻緒がついている ・女性用 … 華奢な作りで、細めの鼻緒が特徴的 客人は露地口で持参した履物を脱ぎ、亭主が用意した草履に履き替えて露地へと入ります。
下駄
読み:げた 下駄は、草履と同じく露地で用いる履物ですが、雨天時や冬季などに露地で用いられます。 ・一枚歯下駄 … 平坦な場所で用いられる ・二枚歯下駄 … 砂利敷きやぬかるんだ露地でも歩きやすい 露地の状態や天候に応じて使い分けられ、雪の日には「雪駄」を用いることもあります。
雪駄
読み:せった 雪駄とは、裏に革を貼った草履の一種で、滑りにくく、雨天時や冬場に使用される履物です。 草履よりも底がしっかりしており、高級なものでは畳表を用いた上品な仕立ての雪駄も見られます。茶席では、露地の状況に応じて草履や下駄と使い分けられます。
露地道具は、単に茶事を円滑に進めるための道具ではなく、亭主のもてなしの心を映し出す存在です。
一つひとつの道具に意味と配慮が込められており、露地全体を通して茶の湯の精神世界が静かに表現されています。
❚ 05.露地 ―中門―
中門とは、外露地と内露地を備える二重露地において、両者を仕切るために設けられる門をいいます。
また三重露地の場合には、外露地・中露地・内露地を区切るため、二つの中門が設けられます。
中門は、外部と茶庭を画する外露地門や庭門に比べ、簡素な造りであることが特徴です。竹や木を用いた素朴な意匠が多く、露地の景観に溶け込みながら、客人の心を内露地へと導く役割を果たします。
以下に、代表的な中門の形式を紹介します。
枝折戸
読み:しおりど 枝折戸は、中門の中でも最も多く用いられる形式です。青竹を折り曲げて枠框とし、割竹を両面から菱目に組み、蕨縄で結んで作られます。 素朴で軽やかな印象を持ち、風通しが良く、露地の雰囲気を損なうことなく機能性を備えた門です。
猿戸
読み:さるど 猿戸は、一般的な木製の板戸で、框のついた板戸に片木板を横張りにして用いられます。 猿とは、框に取り付けた木片を柱などの穴に差し込んで留める簡易な鍵を指します。 なお、木片の代わりに掛け金を用いる場合は角戸と称されます。
中潜
読み:なかくぐり 中潜は、屋根付きの隔壁に設けられた門で、地面から膝ほどの高さに潜り戸を設け、身をかがめて通る形式です。 通行の際に自然と姿勢を低くすることになり、心を改めて内露地へ入るための象徴的な門とされています。
揚簀戸
読み:あげすど 揚簀戸は、一つの露地に二つの茶席が設けられている場合に多く用いられる門です。 二本の丸太柱の上に楣を取り付け、割竹を籠目や菱目に編んだ簀戸を吊し、突上竹で押し上げて通ります。 半蔀、撥木戸、撥簀戸などとも呼ばれます。
梅軒門
読み:ばいけんもん 梅軒門は、表千家残月亭に設けられた中門として知られています。 杉皮葺や藁葺の切妻屋根を持ち、檜の堀立柱に両開きの簀戸を備えています。 門の両脇には、表千家五代/随流斎良休宗左(1650-1691)の好みによる随流垣が設けられ、簡素ながら品格のある構成となっています。
竹葺門
読み:たけぶきもん 竹葺門は、割竹を屋根材とした中門で、裏千家十一代/玄々斎精中宗室(1810-1877)の好みとされています。 竹の素材感を生かした造りが特徴で、自然味あふれる佇まいを見せます。
編笠門
読み:あみがさもん 編笠門は、柿葺の屋根を持つ門で、その曲線が編笠に似ていることから名付けられました。 柔らかな屋根の線が、露地に静かな趣を添える形式です。
萱門
読み:かやもん 萱門は、茅葺屋根を持つ門の総称で、切妻・寄棟・入母屋などの形式があります。 格式が高く、場合によっては露地門として用いられることもあり、茶庭全体の格を引き立てます。
中門は、外露地と内露地を区切る境界であると同時に、客人の心を静め、茶席へ向かう意識を整える重要な装置です。
その形式や素材に込められた意味を知ることで、露地が持つ精神性と茶の湯の世界観を、より深く味わうことができます。
❚ 06.露地 ―石―
露地における「役石」とは、単なる庭石ではなく、露地の機能や茶の湯の流れを整えるために設けられた重要な構成要素です。
客人の動線を導き、立ち位置や所作を明確にし、心を静める役割を担います。
役石の配置には、亭主のもてなしの心が表れ、同時に茶の湯の精神性が映し出されています。
以下に、露地に用いられる代表的な役石を紹介します。
蹲踞
読み:つくばい 蹲踞とは、茶室の近くに設けられ、席入り前に手や口を清めるための「手水鉢(ちょうずばち)」を中心とした一帯を指します。 構成要素として、 ・前石 … 手水の際に乗る石 ・手燭石 … 手燭を置く石 ・湯桶石 … 湯桶を置く石 が配置されます。 また、手水鉢の周囲には「海」と呼ばれる水落ち部分が設けられ、ゴロタ石を敷き、泡消しとして丸瓦を置くことがあります。
蹲踞石組
読み:つくばいいしぐみ蹲踞石組とは、蹲踞を構成する一連の石の総称です。 手水鉢を中心に、前石・手燭石・湯桶石などを適切に配置することで、自然な清めの所作が行えるよう工夫されています。
延段
読み:のべだん 延段とは、露地内の歩行経路を整えるために設けられる石畳です。 平らに据えられた石を連ねることで、蹲踞や茶室への動線を明確にし、露地全体に落ち着いたリズムを与えます。 主に腰掛待合や出入口周辺に用いられます。
飛石
読み:とびいし 飛石とは、露地の中を歩くために一定の間隔で配置された石です。 飛石の幅や間隔は、歩幅に合わせて設けられ、客人が歩きやすくなるように工夫されています。 ・連続飛石 … 歩く流れをスムーズにするための飛石。 ・点在飛石 … 一歩ずつ歩幅を意識させる配置の飛石。
迎付石
読み:むかえつけいし 迎付石とは、亭主の迎えを待つ際に客人が立つ位置を示す石です。 腰掛待合の前や、内露地へ入る手前などに設けられ、客人の所作を整えます。
切石
読み:きりいし 切石とは、平たく成形された石で、露地の要所に用いられます。 茶室の出入口や躙口の前に据えられ、上がり框としての役割を果たす場合もあります。
刀掛石
読み:かたなかけいし 刀掛石とは、躙口の脇に設けられ、客人が佩刀を外して置くための石です。 茶室における無刀平等の精神を象徴する存在とされています。
塵穴石
読み:ちりあないし 塵穴石とは、塵穴の近くに設けられる石です。 客人がここで心身の塵を落とし、席入りの心構えを整える意味を持ちます。 棕櫚帚や塵箸などの露地道具とともに配されることが多くあります。
止め石
読み:とめいし 止め石とは、進行方向を制し、これ以上先へ進ませない意を示す石です。 立入禁止や動線の区切りとして用いられ、露地の秩序を保つ役割を担います。
関守石
読み:せきもりいし 関守石とは、二つ以上の小石を縄で結び、通行を制限するために置かれる石です。 物理的に道を塞ぐだけでなく、精神的な結界としての意味合いも持っています。
踏み石
読み:ふみいし 踏み石とは、歩行や所作の際に踏むことを意図して据えられた石です。 飛石よりも明確な踏み位置を示し、動作の安定を助けます。。
落石
読み:おとしいし 落石とは、意図的に不規則な形で据えられた石で、注意深い足運びを促す役割を果たします。 客人の歩調を自然に緩め、露地を進む心構えを整えるために用いられます。
役石は、露地を構成するための装飾ではなく、客人の身体と心を導くための重要な要素です。
それぞれの石に込められた意味を意識しながら露地を歩くことで、茶の湯が持つ静謐な世界観を、より深く体感することができます。


