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1-10|茶席の御菓子|主菓子と干菓子の違いと役割|茶道の基礎知識

更新日:4 日前

茶道入門ガイド



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■ 茶道の基礎知識 ■

茶席の御菓子






❚ 目次











❚ 01.茶席の御菓子

茶席における御菓子は、茶の湯のもてなしを彩る重要な要素です。

茶会の趣向や季節に合わせて選ばれ、見た目・色合い・形・素材などを通して四季の風情を表現します。



また、茶道で供される御菓子は、大きく「主菓子~おもがし」と「干菓子~ひがし~」の二種類に分類されます。

正式な茶事では濃茶に主菓子、薄茶に干菓子が供されるのが基本であり、この点についてはページ後半でさらに詳しく述べます。



春は桜や若葉を模した生菓子、夏は涼しさを感じさせる錦玉や水羊羹、秋は紅葉や栗、冬には雪景色を思わせる菓子など、季節の移ろいを反映した多彩な意匠が特徴です。

さらに、茶室に飾られた花や掛物、茶道具の銘と意匠が重ならないよう配慮したり、静寂を大切にするため、食べる際に大きな音が出ない菓子を選ぶなど、茶席ならではの細やかな心遣いが求められます。



御菓子は、単なる甘味にとどまらず、季節・意匠・趣向・美意識を通じて、茶席の雰囲気と世界観を形づくる大切な役割を担っています。











❚ 02.御菓子の役割​

御菓子は、抹茶の味わいを高めるための甘味としてだけでなく、茶の湯における「もてなしの心」を象徴する存在です。



抹茶の苦味・渋みと御菓子の甘みは互いに調和し、とりわけ濃茶では主菓子の柔らかな甘味が旨味を引き立て、薄茶では干菓子の軽やかな甘味が清涼感を添えます。

この味のバランスが、茶道における御菓子の最も基本的な役割といえます。



また、御菓子の選定には、亭主が客を思う心が込められており、見た目・季節感・風趣、さらには器合わせに至るまで繊細な配慮が施されています。これにより、茶席全体の調和と品格が高まり、茶の湯の精神性を体現する重要な要素となっています。











❚ 03.主菓子と干菓子

茶道で供される御菓子は、大きく「主菓子」と「干菓子」の二種類に分類されます。


正式な茶事では、主菓子=濃茶、干菓子=薄茶とともに提供されるのが基本ですが今日の参加しやすい茶会も多く、大寄せの茶会では薄茶のみが提供されることが一般的です。その場合、主菓子のみ、または主菓子と干菓子の二種類が振る舞われることもあります。



主菓子

主菓子とは、水分を多く含む 生菓子・蒸菓子 を中心とした、しっとりとした御菓子の総称です。餡を用いたものが多く、見た目の意匠も四季の移ろいを繊細にあらわします。 正式な茶事では、懐石後の「初座」で、縁高に美しく盛り付けられ客に供されます。 濃茶の深い旨味と調和するよう、柔らかく上品な甘味を持つ点が特徴です。

干菓子

​干菓子は、その名の通り水分の少ない乾いた御菓子で、代表的なものに落雁、煎餅、金平糖などあります。 季節の草花や風物をかたどった意匠のものが多く、軽やかな甘味で薄茶の風味を引き立てます。 茶会では、一般的に二種、三種を取り合わせ、干菓子盆に盛りつけて供されます。

この順序は、濃茶・薄茶それぞれの味わいを最も引き立てるために生まれたものであり、御菓子の味・質感・意匠を通して、茶道のもてなしの心や季節の趣が体験できます。











❚ 04.御菓子の頂き方

​茶道では、お茶をいただく前に御菓子を食べ終えておくのが基本とされています。

御菓子が供される際には、所作を丁寧に行い、御菓子の美しさを損なわないよう心を配りながら頂きます。


■ 菓子器の取り扱い ■


01.菓子器が運ばれてきたら

両手で持ち、畳の縁の外に自分と次の客人の間に置きます。その際、軽く手をついてお辞儀をしながら「お先に」と挨拶します。

02.懐紙の準備

懐紙を取り出し、折り目(和)が手前にくるように整え、膝前の畳の縁内に置きます。

03.御菓子を取る

左手を菓子器に添え、お菓子の形を崩さないように丁寧に取りあげます。 基本は、外側のものから取ります。 次の客人への心遣いとして残された御菓子の形が美しく見えるよう配慮することも大切です。

04.菓子箸の扱い

菓子箸を使用した場合は、懐紙の端で軽く拭って清めてから菓子器に戻します。

05.頂く際の姿勢

御菓子は、懐紙にのせたまま胸元あたりまで持ち上げ、左手にのせていただきます。


■ 主菓子と干菓子 ■

​主菓子の頂き方

黒文字(黒文字楊枝)を用いて 食べやすい大きさに切り、軽く刺して口に運びます。 饅頭など、柔らかい菓子の場合は 黒文字を使わず手で割る のが一般的です。 食べ終えた黒文字は懐紙の端で軽く拭ってから懐紙に包み、自分の懐にしまうか菓子盆に戻します。

​​干菓子の頂き方

干菓子は 手でいただく のが基本です。 煎餅など一口で食べられないものは、懐紙の上で静かに割ってからいただきます。 干菓子が複数種類ある場合は、盛り付けを乱さないよう 手前から 丁寧に取り、次客へ回します。 食べきれない場合は、懐紙に包んで持ち帰ることも可能です(茶会の形式による)。

 

 

​茶席では、御菓子の味わいだけでなく、その美しい意匠や季節感も楽しむことが重要とされています。所作ひとつひとつに心を込めて、茶道のもてなしの精神を味わいましょう。











❚ 05.御菓子の十二ヶ月

茶道において御菓子は、単なる甘味としてではなく、季節の趣や茶席の雰囲気を彩る重要な役割を担っています。

茶席の御菓子には、それぞれの季節を反映した意匠や色彩が施され、和菓子職人の繊細な技と日本文化の美意識が表現されています。


 

下記では月ごとの茶席の御菓子を歳時記としてまとめ、季節ごとに用いられる代表的な御菓子をご紹介しますので参考としてご活用ください。

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■ 1月/睦月 ■

主菓子

花びら餅・旭餅・重ね扇・此の花・松ヶ枝・松襲・松の雪

干菓子

干支煎餅・寿煎餅・七宝・ねじ梅・福梅・若松煎餅





■ 2月/如月 ■

主菓子

梅ヶ香・こぼれ梅・福は内・椿餅・雪間草

干菓子

絵馬煎餅・お多福・きつね面・ねじ梅・ねじ棒





■ 3月/弥生 ■

主菓子

青柳・草餅・早わらび・春の野・春の野きんとん・都の春・桃の里

干菓子

貝尽し・菜花の月・早蕨・蝶結び






■ 4月/卯月 ■

主菓子

桜花・京の山・胡蝶・桜餅・つつじ・花見団子・春の山・矢吹重

干菓子

桜花・蝶々・花筏・花兎・蕨



■ 5月/皐月 ■

主菓子

菖蒲饅頭・岩根のつつじ・柏餅・唐衣・花菖蒲・藤の花

干菓子

菖蒲・轡・竹流し・躑躅・結び松風






■ 6月/水無月 ■

主菓子

紫陽花・紫陽花きんとん・磯辺餅・卯の花・氷室・水牡丹

干菓子

芦煎餅・鮎・貝拾い・滝煎餅・撫子・水






■ 7月/文月 ■

主菓子

朝露きんとん・天の川・おりひめ・苔清水・玉清水・星の光

干菓子

鮎・糸巻・団扇煎餅・川瀬・撫子・弥さか煎餅






■ 8月/葉月 ■

主菓子

青瓢・月の雫・夏木立・波の花・葉月・水の面・水花火

干菓子

岩波・団扇・小菊・千鳥煎餅・ひさご・夕顔






■ 9月/長月 ■

主菓子

桂の月・桔梗餅・西湖の月・十五夜・月見団子・萩まんじゅう

干菓子

芋の葉・枝豆・桔梗・すすき煎餅・野菊・初雁煎餅






■ 10月/神無月 ■

主菓子

薄紅葉・秋明菊・竜田・万寿菊・みのりの秋・山づと

干菓子

銀杏煎餅・稲穂・稲穂煎餅・小菊・雀・鳴子・もみじ葉






■ 11月/霜月 ■

主菓子

織部饅頭・初しぐれ・初霜・晩秋・冬木立

干菓子

銀杏煎餅・枯松葉・しめじ・照葉・吹き寄せ・もみじ






■ 12月/師走 ■

主菓子

木枯し・試み餅・柴の雪・蕎麦薯蕷・雪餅・夜の雪

干菓子

うす氷・寒菊・笹の葉・雪華・雪輪











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茶道具|中古道具市
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