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1-13|茶道の着物|女性|茶席の装いと着物選び|茶道の基礎知識

更新日:5 日前

茶道入門ガイド



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■ 茶道の基礎知識 ■

茶席の着物|女性






❚ 目次











❚ 01.茶席の着物

茶道において着物は、単なる衣服ではなく、茶席の空気を整え、亭主と客人の心を結ぶ重要な要素です。季節や茶会の趣旨、格式に合わせた装いを選ぶことで、もてなしの心が静かに表現されます。



茶席の着物は、華美になりすぎず、茶室の設えや季節の風情と調和することが求められます。

男性と女性では装いの形式が異なりますが、いずれも「控えめで上品」であることが基本であり、茶道の精神である「和敬清寂」や「一期一会」を体現する服装が望まれます。



季節によって用いる色柄は異なり、たとえば春は柔らかな色調、夏は涼やかな薄物、秋は深みのある色、冬は落ち着いた暖色など、茶室の雰囲気との調和を重視します。

こうした季節感の表現は、茶会全体の趣を整える大切な要素です。



一方で、結婚式やパーティーにふさわしいような、過度に華やかな訪問着や振袖、煌びやかな帯は、茶道の静謐な空気にそぐわないため避けるべきとされています。

茶席では控えめで品格のある装いが、亭主のもてなしの心をより深く伝えるとされています。



また、着物の選び方や着こなしは、流派や師匠によって考え方が異なる場合があります。

特に正式な茶会に出席する際は、ご自身の先生に相談し、席の格式や目的に即した装いを選ぶことが安心です。



茶席の着物は、日本人の美意識や謙虚さを映し出すものであり、着物を整えて茶席に臨むことは、茶の湯の精神に寄り添う大切な姿勢の一つです。ふさわしい装いと心をもって茶会に向き合うことで、日常を離れた豊かなひとときを味わい、茶道の魅力をより深く感じることができるでしょう。











❚ 02.茶席の着物|女性

茶席における女性の着物は、単なる装いにとどまらず、茶道の精神を映し出す大切な要素です。

控えめで上品な着物を身にまとうことは、亭主のもてなしの心を尊重し、客人との静かな交流を深めるための心遣いでもあります。



女性の正装としては、季節や茶会の趣旨に合わせた色合い・柄を選び、華美に過ぎない落ち着いた着物が基本とされています。結婚式のような場で用いられる豪華な訪問着、金銀糸の帯、鮮やかな色彩の振袖などは、茶道の静謐な雰囲気に相応しくないため避けられます。

代わりに、控えめでありながらも品格を感じさせるデザインの着物が望まれます。



また、着物そのものだけでなく、帯の結び方・足袋の白さ・草履の色合いなど、小物の選び方にも配慮が求められます。全体が調和し、茶室の落ち着いた空気を乱さないことが大切です。帯は華やかすぎる結びを避け、茶席にふさわしい上品な形を選びます。



茶室の掛け軸や花、茶道具の雰囲気との調和も重要です。着物は茶席全体の一部として存在するため、優しい色調や自然を感じさせる柄など、茶室の設えに馴染む装いを心がけます。



女性の着物は、茶道における美意識や静けさを体現するものです。装いそのものがもてなしの一部となることを意識し、季節感と品格を大切にした着物選びを行うことが、茶席における最も理想的な姿といえるでしょう。











❚ 03.茶席の着物|女性|種類

茶席に着て行く女性の着物には「訪問着」「付け下げ」「色無地」「小紋」などがありますが、茶道でもっとも基本となるのは「一つ紋付の色無地」です。とはいえ、茶会の種類や主旨、時期、会場によってふさわしい装いは異なり、「茶事」「利休忌」などの格式高い茶会から、気軽に参加できる大寄茶会まで、場に応じて着物を選ぶことが大切です。



以下では、茶席でよく用いられる女性の着物の種類と、その特徴・格式について解説します。


留袖 (黒留袖/色留袖)

留袖は、着物の中で最も格が高いものとされ、黒留袖と色留袖に分かれます。 地色の黒いものを黒留袖といい、黒以外の地色で裾に模様のあるものを色留袖といいます。 色留袖に五つ紋付けを施せば第一礼装となり、三つ紋付や一つ紋付けにすれば、訪問着のような準礼装としても用いることができ、格式の高い茶会にふさわしい装いとなります。

​訪問着

訪問着は、留袖に次ぐ格を持つ準礼装で、華やかさと上品さを兼ね備えた着物で既婚・未婚を問わず着用できます。 格調高い古典柄や豪華なデザインのものは、一つ紋を付けることで色留袖と同等の格式となります。 婚礼や重要な茶会、初風炉・口切り・初釜、神社仏閣で行われる献茶式など、格式の高い茶会には、訪問着や付け下げが選ばれます。

​付下げ

付け下げは、訪問着よりやや控えめで、上品な準礼装として用いられる着物で既婚・未婚を問わず着用できます。 反物の段階で柄付けされ、着た時にすべての模様が上向きになり、見た目は訪問着に似ているが、訪問着よりも軽やかで落ち着いた印象でシンプルなデザインが特徴です。 元々は訪問着よりも格下とされていましたが、柄の華やかさや紋を付けることで訪問着と同等の格式として着用される場合もあります。

​​色無地

茶道で最も基本とされる着物で色無地でシンプルな一色染め、または同色の裾ぼかしが施された、黒以外の無地の着物です。 家紋を入れることで、訪問着や付け下げと同様に礼装としての体裁を整えることができます。 家紋がない場合は略礼装や普段着としても着用でき、黒い帯を合わせることで略式の喪服としても利用可能。 礼装として五つ紋付けする場合もありますが、一般的には背中央に一つ紋を入れる「一つ紋付」が茶会には相応しいとされています。 格式ある茶会でも、稽古でも、幅広い場面で着られるため、茶道をたしなむ女性が最初に揃える着物でもあります。

​​小紋

小紋は、型紙を用いて全体に文様が一方向に繰り返し描かれた着物です。 基本的にはカジュアルな着物として扱われ、軽い外出着とされますが、柄の華やかさやデザインによっては、ドレスアップタイプとしても活用できます。 小紋は、江戸小紋、京小紋、加賀小紋、紅型小紋など多岐にわたり、各種類ごとに独自の柄や色使いがあります。 茶席には、模様が控えめで無地の部分が多い、飛び柄や草花模様、茶屋辻模様など、風情を感じさせる小紋が適しており、野点や大寄茶会など、カジュアルな茶会では訪問着ほど改まらない晴れ着として着用されます。



着物の種類

格式の高い茶会・茶事

訪問着・付け下げ・色留袖

一般的な茶会

色無地(一つ紋)

大寄席茶会など

小紋・色無地(紋なしも可)


このように、茶道で着る着物は、基本的には一つ紋の色無地が最も基本とされますが、茶会の時期や会場、趣旨に応じて適切な着物を選ぶことが求められます。

茶会の種類や規模によって、着るべき着物の装いは変わり、格式高い茶事から気軽な大寄茶会まで、さまざまな場面で異なる装いがあります。











❚ 04.茶席の着物|女性|帯

女性が茶席で身につける帯には、着物と同様に格式があり、長さや形、仕立てによっていくつかの種類に分かれています。 現在一般的に用いられる帯としては、「丸帯」「袋帯」「九寸名古屋帯」「袋八寸名古屋帯」「京袋帯」「細帯(半幅帯)」「兵児帯」の七種類があります。 それぞれに特徴と格があり、茶会の種類や場面によってふさわしい帯は変わってきます。


以下では、茶席でよく用いられる女性の着物|帯の種類と、その特徴・格式について解説します。


丸帯

丸帯はかつて最上級の礼装として用いられた帯で、生地を二枚重ねた分厚い作りが特徴です。華やかな文様が全体に織り出されており、豪華絢爛な帯として知られます。今日では茶席で目にする機会は減りましたが、古典的な格式を備えた帯として位置づけられています。

​袋帯

寸法:幅30~32㎝×長さ約4m30cm以上 明治時代に丸帯の代わりとして生み出された帯で、最も格が高いとされます。 表と裏に異なる生地を使用し、袋状の構造が特徴です。 幅は30〜32cmほど、長さは4m30cm以上と長く、主に二重太鼓で結ばれます。 金銀糸を用いた格調ある柄付けのものが多く、格式の高い茶会や正式な場面でよく用いられます。

​九寸名古屋帯

寸法:34cm(九寸)×長さ約3m60cm 九寸名古屋帯は、袋帯に次ぐ高い格を持ち、織と染の技法が施されています。 袋帯よりも短い長さ(約3m60cm)で、仕立てによって太鼓部分のみ幅が広く、それ以外の部分は半分の幅になるのが特徴で一重太鼓で締めるのが特徴です。 織や染の技法によって礼装から略礼装まで幅広く活用できる帯として人気があります。

​京袋帯

​京袋帯は、京都で発展した帯で、伝統的な織りや染色技法が活かされ、格式の高い装いにふさわしいとされています。帯芯を入れずに袋帯のように仕立てられているのが特徴で軽く締めやすく、上質感のある織や染めが施されることから、茶席での正装に向く帯として選ばれることが多くあります。美しい柄と落ち着いた色合いが特徴で、正装として多く用いられます。

八寸名古屋帯(袋名古屋帯)

寸法:幅約30cm(八寸)×長さ約3m60cm 八寸名古屋帯(袋名古屋帯)は、九寸名古屋帯に似たデザインながら、八寸幅(約30cm)で仕立てられた名古屋帯で、締めやすさと格のバランスに優れています。 九寸名古屋帯よりもやや軽やかな印象ながら、文様や仕立てによっては準礼装としても十分に対応でき、上品な装いを求める茶席に適しています。

​​細帯 (半幅帯)

寸法:幅約15㎝(四寸)×長さ約3m60cm 細帯、または半幅帯は、幅が狭くカジュアルな装いに向いている帯です。 文庫結びや貝の口など結び方も豊富で、気軽な外出着として広く使われます。 日常的な稽古や気軽な大寄せの茶会などでは使われる場合もありますが、正式な茶席ではあまり用いられません。

​​兵児帯

​兵児帯は、柔らかい生地で仕立てられた帯で、身体に負担が少なく、主にカジュアル用途やリラックス着に適した帯です。 元来は庶民的な帯でしたが、絞りの美しさなどによって意匠性が高められたものもあり、現代では浴衣やカジュアルな着物に合わせる帯として用いられています。



帯の種類

格式の高い茶会・茶事

袋帯

一般的な茶会

九寸名古屋帯・京袋帯

大寄席茶会など

八寸名古屋帯(袋名古屋帯)

普段着・カジュアル

細帯(半幅帯)・兵児帯


このように、帯は素材や柄、仕立ての違いによって格が大きく異なり、茶席では礼装としての品位を保つ帯を選ぶことが大切です。茶会の趣旨や規模、時期に応じて帯の格を見極めることで、着物全体の調和が生まれ、茶道の持つ美意識をより深く表現することができます。











❚ 05.茶席の着物|女性|その他

茶席で着物を美しく着こなすためには、着物や帯だけでなく、それらを支える小物の役割も非常に重要です。帯揚げや帯締め、襦袢、半襟、足袋、履物などの小物は、装いの品格を整えるだけでなく、着崩れを防ぎ、全体の調和を保つために欠かせない存在です。



以下では、茶席でよく用いられる女性の着物|その他の種類と、その特徴・格式について解説します。

帯揚げ

お太鼓結びを整える際に帯の形を支える役割を持ち、帯山の丸みを美しく保つために使われます。 また帯の重みを支える働きもあり、見えない部分で着姿の完成度を左右する大切な小物です。

​帯締め

帯締めは結んだ帯が緩まないように締める紐であり、装いのアクセントとしての役割も果たします。 帯締めの色や素材は着物と帯との調和を大きく左右するため、茶席では上品で落ち着いた組み合わせが好まれます。

​​半襟(半衿)

半襟は、襦袢の襟元に取り付け、襟元を整え、顔周りの印象を整えるとともに着物のシルエットを美しく保ち、着物全体の清潔感を保つために用いられます。 茶席では、基本的に白の半襟が最も望ましく、格式の高い場面でも使える標準的な装いとされています。 ただし、華やかな茶会や季節の趣向を凝らした茶席では、控えめな刺繍入りの半襟を用いる場合もあります。

​襦袢

襦袢は肌襦袢の上に重ねる下着で、着物の形を美しく見せるために欠かせない存在です。 ワンピースのように長い長襦袢が正式ですが、上下別々になっている二部式の半襦袢と裾よけの二部式が便利で、動きやすさも兼ね備えています。

​肌襦袢

肌襦袢は最初に身につける下着で、汗を吸収し肌当たりのよい素材が望まれ、自宅で洗濯できるものを選ぶと扱いやすく便利です。

 着付紐

着付紐には、幅3~5cmの腰紐や、伊達締め、和装ベルトなどがあり、着物の着崩れを防ぎ、全体のシルエットを安定させるために用いられます。 それぞれの道具は素材や幅、締め心地が異なり、さらに、先端がクリップになっている着付けベルトや、マジックテープ付きの和装ベルトなど、便利なアイテムもあり、これらを組み合わせることで、より快適で美しい着姿を維持することができます。 特に伊達締めや着付けベルトは胸元の安定に効果があり、茶席での動作の多い場面でも安心して着物を保つことができます。

 帯板

帯板は帯の前部分に挟み、帯にシワが寄るのを防ぐための道具で、帯の平らな面を美しく見せるために欠かせません。 一般的には幅14cm、長さ40cmほどの短めの帯板が使いやすく、名古屋帯でも袋帯でも安定した仕上がりになります。

​帯枕

帯枕は帯の後ろに丸みや形状を整えるために使うもので、名古屋帯のお太鼓結びや袋帯の二重太鼓に欠かせない小物です。 正装の場合や若い方には山が高くボリュームのある帯枕が、年配の方やカジュアルな場面には小ぶりな枕が相応しいとされています。

​足袋

茶席では必ず白の足袋を着用します。どのような着物にも合わせられ、もっとも格式の高い色とされているためです。 たとえ外出時に色足袋を履いていたとしても、茶席に入る前には白足袋に履き替えるのが作法であり、清潔感を大切にする茶道の精神が反映されています。

履物

履物には草履と下駄がありますが、茶席では基本的に草履を選びます。 草履はかかとが少し下がる程度の大きさが歩きやすく、着物との調和も良いとされています。 下駄はカジュアルな装い向きであり、正式な茶会にはふさわしくありません。

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これらの小物はすべて、茶席での装いを整え、茶道の持つ繊細な美意識を反映するために重要な要素です。流派や先生の教えによって選び方が異なる場合もありますが、いずれも着物の品格と着姿の美しさを引き立たせるために欠かすことができない道具です。 正しい小物使いによって、茶席にふさわしい落ち着きと品格を備えた装いが完成します。











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