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1-11|茶席の御花|茶花|花は野にあるように|茶道の基礎知識

更新日:5 日前

茶道入門ガイド



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■ 茶道の基礎知識 ■

茶席の御花






❚ 目次











❚ 01.茶席の御花

茶席に生ける花は、茶花~ちゃばな~といい、室礼のを整えるうえで欠かせない要素あり、単なる装飾ではなく、亭主のもてなしをの心を象徴するものとされています。

茶花は、客人のために選ばれ、その花姿を通して季節の移ろいを静かに語りかけます。



茶道の世界では千家開祖/抛筌斎千宗易利休(1522–1591)が唱えた「利休七則」のひとつに「花は野にあるように」という教えがあります。

これは花を華美に飾り立てるものではなく、自然のままの姿を尊び、野に咲く花のように素直に、控えめに生けることを示したものです。



そのため、茶花は豪華なアレンジや人工的な演出を避け、茶室の雰囲気に溶け込むように生けられます。そこには「わび・さび」の精神が宿り、静けさの中にある自然の調和を表現することが求められます。



また、茶席の花は季節感を象徴する大切な役割も担っています。使用する花は、その時期にふさわしいものを選び、春・夏・秋・冬、それぞれの季節がもつ気配をさりげなく伝えることが求められます。











❚ 02.茶花と生け花の違い

茶花はしばしば「生け花(華道)」と混同されますがその目的や美意識は、生け方には明確な違いがあります。



茶花

生け花

目的

茶席の空気を整え、季節と自然の気配をそっと添えるためのもの。

花そのものではなく「茶席の一部」としての調和が目的。

造形美・様式美を追求し、作品としての完成度や構成の美しさを重視する芸術的表現。

美意識

「野にあるように」の精神を重んじ、作為的な構成を避け、自然の姿に近い控えめな生け方を良しとする。

流派ごとに定められた型や構成(天地人など)に美を求め、構図や動きを造形的に表現する。

生け方

基本は一種または少数の花のみを用い、季節の自然感が損なわれないよう、最小限の組み合わせとする。

多種類の花材を組み合わせ、線や面を意識したダイナミックな構成をつくる。


このように、華道が「作品としての花」を追求するのに対し、茶花は「茶室の呼吸に寄り添う花」を尊ぶ点に大きな違いがあります。

❚ 03.茶花の生け方

茶席に飾る花は、剣山やオアシス(スポンジ)などの補助具を用いず、花入にそのまま生ける「投げ入れ」が基本とされています。剪定しすぎたり形を整えすぎたりせず、花本来の自然な姿を保ちつつ、茶席の雰囲気に調和するように生けることが大切です。

また、香りの強い花や棘のある花は茶席全体の調和や落ち着きを乱すために避け、あくまで控えめに、自然の気配りをそっと添えることを心がけます。



花を生ける際は、掛け軸や茶道具との調和を第一に考えます。

花だけが主張しすぎることのないよう、茶室の空気感や床の間全体の構成を意識し、客人が正面から見たときに最も美しく映るよう調整します。

茶花は「茶席の一部」であり、決して作品として自己主張する存在ではありません。

その控えめな佇まいが、茶席の静けさを引き立てるのです。



使用する花の本数は「二」または「奇数」とするのが基本で、多くの種類を寄せ集めるのではなく、1~3種類に抑えるのが理想的で、一輪の花だけでも十分な趣を演出できます。

枝ものを用いる場合は、曲線の自然な流れを活かしながら、生けた花が自然と息づいている姿を表現することが重要です。

花や枝の動きを自然に見せることで、茶席全体の落ち着いた雰囲気と調和させることができます。



また、花入の種類によっても生け方が異なります。「掛花入」の場合は、花が自然に垂れるように生け、「置花入」の場合は安定感を持たせるように配置します。「竹花入」や「陶器の壺」などは、それぞれの形状に合わせて、花の配置を工夫することが求められます。



茶席における花は、単なる装飾ではなく、茶道の精神を体現し、亭主のもてなしの心を象徴するものです。自然な姿を大切にし、過度な装飾を避けながら、客人が四季の移ろいを感じられるように生けることが重要です。











❚ 04.花入の種類

茶道において、花を生ける器は「花入」と呼ばれ、茶席全体の雰囲気を整え、亭主のもてなしの心を表現する重要な道具の一つです。花入は、単なる花を生ける容器ではなく、掛け軸や茶道具と調和し、茶席の趣を引き立てる役割を持ちます。



花入には、大別して「置花入」「掛花入」「吊り花入(釣花入)」の三種類があり、茶席の形式や趣向に応じて使い分けられます。

置花入

置花入は、床の間に直接置いて使用する花入です。 陶磁器や金属、竹籠など多様な素材が用いられ、陶磁器の置花入には、唐物の品格ある壺や、日本の国焼の素朴な器などがあり、格式や趣向に応じて選びます。 竹籠の花入れは、特に夏の茶席で涼やかな趣を演出し、素朴な風情を生かすことができます。

​​掛花入

掛花入は、床の間の壁に掛けて使用する花入で、竹製のものが最も一般的です。 竹の節や割れ目を活かした素朴な美しさがあり、わび・さびの精神を体現する花入として重視されます。 竹のほか、陶器や金属製の掛花入もあり、席の趣向や格調に応じて使い分けます。 格式のある茶席では掛花入が選ばれることが多く、流派や席の趣向により使い方が異なります。

​吊り花入(釣花入)

吊り花入は、天井や柱などに掛けて吊るす花入で、特に夏の茶席に涼やかな趣を添えるために用いられます。 吊り花入の代表的な素材は竹や籠で、軽やかな風情が特徴です。竹の節を活かしたものや、細工が施されたものなど、さまざまな種類があり、花の種類や茶室の構造に合わせて選びます。 茶席で吊り花入を用いる場合は、客の視線に合わせた高さに調整し、花が自然に揺れることで生まれる動きや影の美しさを楽しむことが重要とされています。

 

花入は、茶席の季節感や趣向、床の間の掛け軸や茶道具との調和を考えて選ぶことが大切です。

夏の涼やかな茶席には竹の花入や籠花入を、格式のある茶席には陶磁器の花入を用いるなど、全体の雰囲気にあわせて使い分けます。


また、花の種類や活け方とも深く結びついています。野に咲く花の素朴な魅力を生かすためには過度な装飾を避けた、控えめで自然味のある花入が適しているとされます。

茶席においては、花とともに花入そのものも亭主のもてなしの心を表す道具であり、選び方一つで茶席の雰囲気を大きく左右する重要な要素となります。


茶道において、花入は単なる器ではなく、客人へのもてなしの心を象徴する存在です。

花の持つ自然な美しさを引き出し、茶席の空間に穏やかで調和の取れた雰囲気をもたらします。

掛花入・置花入・吊り花入、それぞれの特性を理解し、茶席の趣向や季節に応じて適切に選ぶことで、より深い茶道の精神を表現することができます。











❚ 05.茶花の十二ヶ月

前項までに述べたように茶席において、季節の移ろいを感じることは非常に重要な要素とされています。茶道では、一年を通じてその時々の風情を大切にし、茶席の設えに反映させることが求められます。

下記では、月ごとの茶席の御花を歳時記としてまとめ、季節ごとに用いられる代表的な茶花をご紹介しますので参考としてご活用ください。


■ 1月/睦月 ■

茶花

椿・黄梅・寒牡丹・寒桜・白梅・蕗の薹・雪柳・福寿草





■ 2月/如月 ■

茶花

梅・黒文字・水仙・寒蘭・雪月花・蕗・猫柳・雪割草・節分草





■ 3月/弥生 ■

茶花

桃・杏・黄梅・木瓜・菜の花・山茱萸・彼岸桜






■ 4月/卯月 ■

茶花

青文字・木通・馬酔木・油瀝青・枝垂桜・二輪草・岩桜・鶯神楽・花筏・牡丹・苧環・片栗



■ 5月/皐月 ■

茶花

あやめ・都忘れ・杜若・下野・苧環・山芍薬・鈴蘭・鉄線・雛罌粟・藤・雪の下・野薊・卯の花・小手毬・牡丹






■ 6月/水無月 ■

茶花

甘茶・山紫陽花・またたび・金魚草・山芍薬・京鹿子・麒麟草・桔梗・金鳳花・菖蒲・花菖蒲・狐の牡丹・月見草・都草・紫式部






■ 7月/文月 ■

茶花

朝顔・虎杖・糸芒・一薬草・薄雪草・弟切草・鹿子百合・蝦夷竜胆・鬼百合・唐糸草・唐松草・仙人草・浜薊






■ 8月/葉月 ■

茶花

茜草・犬蓼・岩桔梗・顎無・秋の麒麟草・葦・粟・犬胡麻・女郎花・金水引・宗旦木槿・萩・弟切草・男郎花・雁草・銀露梅・半夏生






■ 9月/長月 ■

茶花

青柳花・曙草・朝露草・磯菊・梅鉢草・犬塔花・馬の鈴草・朮・吾亦紅・数珠玉・浜菊・貴船菊山牛蒡・桜蘭・霜柱・白萩・野牡丹・杜鵑草






■ 10月/神無月 ■

茶花

磯菊・桜蓼・梅擬・小紫式部・吊花・島寒菊・野路菊・浜菊・蔓梅擬・七竈・風鈴梅擬・山帰来・見返草・釣鐘人参・山口菊・万寿菊・溝蕎麦






■ 11月/霜月 ■

茶花

小菊・筏葛・柿・烏瓜・油椿・枇杷・満天星・三椏・姫蔓蕎麦・万作・野紺菊・紫式部・石蕗・榛






■ 12月/師走 ■

茶花

寒紅梅・喫茶去・九輪桜・水仙・クリスマスローズ・石菖・常盤桜・葉牡丹・蠟梅・冬桜・ポンポン咲菊・冬至梅・白玉・白侘助​











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