6-2|利休七則|06.利休七則|千宗易利休|抛筌斎
- ewatanabe1952

- 2023年5月22日
- 読了時間: 6分
更新日:9月16日
全10回 抛筌斎 千宗易 利休

利休七則
― 利休七則 ―
❚ 利休七則

一、茶は服のよきように、
二、炭は湯の沸わくように、
三、夏は涼しく冬は暖かに、
四、花は野にあるように、
五、刻限は早めに、
六、降ふらずとも雨の用意、
七、相客に心せよ。
❚ 一、 茶は服のよきように

茶を点てる**際、自分の点てやすいように点てるのではなく、客人にとっておいしい一服**を点てることが大切です。
たとえどんなに素晴らしい道具を用いて、完璧な点前であったとしても、そこに――客人においしい一服を差し上げたい――という気持ちがなければ意味を成しません。
このように、客人の気持ちを考え、心をこめて茶を点てることが大切であり、客人もその亭主の心に感謝してお互いの心を通わせた時に「服のよき」一服が生まれると教えられています。
❚ 二、 炭は湯の沸くように

おいしい茶を点てるためには、適切な湯加減が大切です。
そのためには炭をただ決められた通りに置くだけではなく、――どのように置けばよりよく火が熾こるのか?――、――火の沸く時間はどれほどになるのか?――などをよく理解して炭を置くこと大切です。
これもいざ実行に移すとなかなか難しいことであり、炭の扱いにも――客人においしい一服を差し上げたい――という心が大切さであると教えています。
❚ 三、 夏は涼しく冬は暖かに

茶道では、季節の移ろいやその恵みに感謝する心を大切にします。
夏には風炉**を、冬には炉**を用い、また道具の取り合わせや、もてなす茶菓子などを工夫することで、涼しさや暖かさを演出し自然とともにある心を育てます。
茶室の設えや道具の取り合わせを工夫することで、客人に――快適なひとときを提供する――ことが重要であり、万物**の事象と共に共存する大切さを教えています。
❚ 四、 花は野にあるように

茶席に生ける**「茶花**」は自然に咲く花の本来の姿が最も美しいとされています。
茶席に飾る花は、過度な技巧は加えず、――花の持つ生命力――と――本来の美しさ――を活かすことが重要です。
作り込まれた美ではなく、――自然のままの生命を生かし尊ぶこと――の大切さを教えています。
❚ 五、 刻限は早めに

茶道だけにかぎらず時間にゆとりを持って早めに準備をすすめることは、心に余裕を生み、その一会をよりよいものにする要素になります。
自らにゆとりがあれば、相手の時間にも心を配ることができ、その姿勢が一期一会の茶席をより豊かなものにしてくれます。
――時を守ること――は、その一会**を尊ぶ心と深く結びついており、茶道は時を大切にすることの意義を私たちに教えてくれているのです。
❚ 六、 降らずとも雨の用意

雨に備えて傘を用意するというたとえのように、何事においても準備を怠らず、あらゆる状況に対応できる心構えを持つことが大切です。
茶道においても、日頃の修練と心配りを欠かさず、常に万全の準備を整えることで、いかなる場面でも落ち着いて臨機応変に対応することができると教えられています。
――たとえ雨が降らなくとも傘を持つ――この教えは、日常のあらゆる出来事に備える姿勢の重要性を説いており、茶道の本質である――心の備え――と――静かな対応力――を象徴しています。
❚ 七、 相客に心せよ

茶席では亭主**と客人の関係だけでなく、となりの相客**同士の心遣いも大切な要素です。
互いに尊重し、思いやる心を持つことは一期一会**の精神と深く結びついています。
茶道に限らず、日常生活においてもお互いが相手を思いやる心があれば、おのずと素晴らしい時間が訪れるということを教えています。
❚ 人生を豊かに整える

「利休七則」は、単なる茶道の作法ではなく、人生の在り方そのものを示す実践的な教えです。
それはすべて――相手を思いやること――から始まり、やがて――己を律し、心を尽くすこと――へとつながっていきます。
――最も簡単なことこそ、最も難しい――茶の湯を通して、私たち自身の生き方を見つめ直す機会が与えられているのです。
❚ 次回は・・・
次回の「7-1|利休百首とは?|07.利休百首」では、千利休が茶の湯の心得として詠んだとされる短歌百首の全体像を概観し、その成立背景や構成、伝承の経緯について詳しくご紹介します。
利休が茶人たちに伝えようとした精神や日々の修練の要点が、どのような言葉で表現されているのか、その入口としての理解を深めていきます。
登場人物
千利休|せん・りきゅう
……… 天下三宗匠|千家開祖|抛筌斎|千宗易|1522年―1591年
用語解説
点てる
………
一服
………
生ける
………
茶花
………
風炉
………
炉
………
万物
………
亭主
………
相客
……… 茶席に共に招かれた他の客人。共に一座を築く存在であり、互いに心を通わせることが理想とされる。
一期一会
………
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