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特集|懐石とは?|はじめの一歩|茶道入門ガイド

はじめの一歩



「懐石とは?」の文字と着物姿の女性が本を広げて読む姿が描かれた「特集|懐石とは?」ページの冒頭画像。


■ 特 集 ■

懐石とは?






❚ はじめに

この度は「茶道プラス(310plus.com)」へご訪問いただき、誠にありがとうございます。

特集記事では、これから茶道をはじめる方に向けて、「はじめの一歩」となる基本の知識を、やさしくわかりやすく解説しています。



本ページでは、茶道を学ぶ上で重要な要素のひとつである「懐石」について、初心者の方にもイメージしやすい形でご紹介します。また、すでに茶道に親しんでいる方にとっても、基本を振り返るきっかけとして活用いただける内容です。



まずは気軽に、茶道の世界をのぞいてみてください。










❚ 懐石とは?

懐石とは、茶道において茶事の前に供される料理のことを指します。

客人の空腹を満たし、後に供される濃茶をより深く味わうための準備として行われる重要な一環です。



懐石の形式は「一汁三菜」を基本とし、見た目の美しさと季節感、そして亭主のもてなしの心が凝縮されています。

また料理が盛られる器や椀などの趣向も亭主の趣向が感じられる懐石料理の楽しみの一つとされる。



茶会の中でも茶事における懐石は「茶事懐石」と呼ばれ、茶席全体の趣向と一体となるように構成されます。











❚ 懐石の起源

懐石料理の起源は室町時代(1336〜1573)にさかのぼります。

「懐石」という語は、禅僧が寒さや空腹をしのぐために温めた石を懐に入れて腹を温めていたことに由来します。

これは、食事を豪華にせず、身体と心を静かに整えるための禅の修行の一環でした。




この「懐に石を抱く」という行為が「空腹をしのぐ簡素な食事」を意味するようになり、やがて茶道に取り入れられると、“もてなしの食事”としての懐石料理へと発展しました。




派手な料理ではなく、素材の自然な味わいを大切にし、季節の移ろいや亭主の心遣いを表す役割を担っている点に、禅の精神が色濃く残されています。











❚ 茶事懐石(茶懐石)と懐石料理と会席料理

懐石と会席は混同されがちですが、本来は異なるものです。

懐石は茶事における茶のための食事であり、簡素ながらも心を尽くした料理が特徴です。

一方、会席料理は酒宴を前提とした饗応料理で、料理そのものを楽しむことが目的です。



懐石はあくまで「茶を引き立てるための食事」という点において、茶道ならではの役割を持ちます。

また、「懐石料理」という言葉は現代では広く使われていますが、本来は茶事で提供される茶事懐石と、それが独立・発展した一般的な懐石料理に分かれます。



茶事懐石

懐石料理 (一般)

会席料理

目的

茶を引き立てる前段階の食事

食事そのものを楽しむ

酒宴を中心とした饗応料理

提供形式

一汁三菜を基本とした簡素な構成

コース料理として品数も多く豪華

コース料理で酒と料理を組み合わせ

提供場所

茶事(濃茶前)

料亭・旅館・レストランなど

料亭・宴席・旅館

精神性

禅・わび・茶の湯の美意識

料理の完成度・見た目の華やかさ重視

饗応・もてなし・社交


茶事懐石は、「待合→席入り→初座(炭点前|茶事懐石)→中立(休憩)→後座(濃茶|薄茶)」と茶事の一連の流れの中にあるため、「料理そのもの」が主役ではありません。



素材の旬と調和、器、空間、亭主の心遣いを通して、茶席全体を整えるための“静かなもてなし”として位置づけられます。











❚ 懐石の流れ

懐石は茶事の前半に組み込まれ、炭手前や濃茶・薄茶と並ぶ重要な要素です。

基本的な流れは以下の通りです。

※流派により多少の違いがあります



01. 折敷・・・ 最初に折敷と呼ばれる盆に「飯」「汁」「向付」がのせられて供されます。この折敷が懐石のはじまりを告げる合図となります。 ・飯…炊きたての白ご飯 ・汁…季節の吸い物(澄まし汁など) ・向付…刺身や酢の物などの前菜的な一品
02. 酒・・・ 懐石の途中で小さな杯でお酒をいただきます。

03. 煮物椀・・・ 蓋付きの椀に入った煮物です。
04. 焼物・・・ 季節の魚などを焼いたもの。
05. 預鉢|強肴・・・ 炊き合わせや酢の物など、お酒の肴となる一品。
06. 箸洗い(吸物)・・・ 口の中をさっぱりさせるための小吸い物で、お酒の後に提供されることが多いです
07. 八寸・・・ 海のものと山のもの、2種類の肴を盛り合わせた酒肴です。
08. 湯桶|香の物・・・ 最後の締めくくりとなる湯漬け(湯桶)と香の物が出されます。食事を締め、口を清め、心を濃茶の席に整える役割を持ちます。 ・湯桶…ご飯に熱湯や番茶をかけた軽い湯漬け ・香の物…季節の漬物
09. 甘味(お菓子)・・・ 懐石の最後に甘味が添えられる場合もあります。












❚ 一汁三菜

一汁三菜とは主食となる米に、汁物とおかず三点(主菜と副菜二点)で構成される日本料理における本膳料理の御膳の一形式をいう。


ご飯と香の物・・・ 白米または炊き込みご飯と季節の漬物で味の変化を添えます。
汁物・・・ 季節の魚や野菜を用いた吸い物で、食事の最初に温かさと季節感を添える役割を担います。

主菜・副菜(焼き物・煮物・和え物など)・・・ ・焼き物―旬の魚や肉を塩焼きなどで提供 ・煮物―根菜や山菜など素材の味を活かす ・和え物―季節の野菜や海藻を軽く味付け


この他にも、湯桶や八寸などの追加料理が加わる場合もあり、亭主の趣向や季節によって変化します。












懐石がもたらせたもの

懐石の思想は、現代の日本料理にも大きな影響を与えています。素材の旬や見た目の美しさ、器との調和を大切にする文化は和食全体の根幹となり、「いただきます」「ごちそうさま」という食前・食後の礼にも通じています。これは、食材や調理に携わった人々への感謝の表現であり、懐石の精神が日本の食文化に深く根づいている証でもあります。











❚ まとめ

懐石は茶事において茶を引き立てるための重要な一要素であり、茶道の精神と美意識を体現する食事です。亭主の心遣いと季節感が一汁三菜に込められ、客人はそのもてなしを五感で味わいます。時代とともに形を変えながらも、その本質は今も変わらず茶の湯の中心に息づいています。











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