★1-2|樂焼とは|樂吉左衛門|茶碗師|千家十職|
- ewatanabe1952

- 2023年11月28日
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千家十職

■ 樂家|樂吉左衛門|茶碗師 ■
樂焼とは
❚ 樂焼とは
「樂焼(らくやき)は、千家十職の茶碗師・樂吉左衛門家によって450年以上にわたり一子相伝で継承されてきた特別な焼物です。他の焼物とは異なる独自の製法によって作られ、その技術の詳細は門外不出の秘伝とされています。樂焼の制作は、茶の湯の精神と深く結びついており、その技法は時代を超えて守り続けられています。
手捏ね製法
樂焼は、轆轤を使用せず、手と箆だけで成形する「手捏ね」という方法で作られます。この技法によって、茶碗には機械的な均一性がなく、人の手の温もりを感じさせる柔らかい造形が生まれます。また、手捏ねの成形は、茶碗を持ったときの手の収まりや口当たりの良さを考慮しながら行われるため、茶の湯における「用の美」を体現したものとなります。
焼成方法
樂焼は、一般的な磁器や陶器とは異なり、約750℃~1,100℃の比較的低温で焼成される「軟質施釉陶器」に分類されます。 この焼成方法により、樂焼独特の柔らかさと温かみのある風合いが生まれます。
黒樂製法
樂茶碗は天正九年(1581年)から天正十四年(1586年)ごろに樂家初代/樂長次郎によって創始されたとされています。その製法は非常に独特であり、以下の工程を経て完成します。 初期の製法としては素焼後に加茂川(京都市)の黒石からつくられた鉄釉をかけて陰干し、乾いた後にまた「釉薬」を掛けるといった工程を十数回繰り返します。 その後、1,000度程度で焼成し「釉薬」が溶けたところを見計らって窯から引き出し急冷し、釉薬が黒く変色することで黒樂特有の深みのある黒色が生まれます。 この急冷による焼成方法が樂焼独特の美しい釉調と質感を生み出しています。
赤樂製法
赤樂茶碗は、樂家二代・樂常慶によって創始されたとされ、樂焼のもう一つの代表的な技法です。黒樂とは異なる工程を経て焼かれます。 赤樂は「聚樂土」と呼ばれる土が使用され、この土は、樂焼の発祥地である聚樂第周辺の土を指し、焼成後に独特の赤色を帯びる特徴があります。 この胎土聚樂土を素焼きし,透明の釉薬を施し、その後、約800度の低温で焼成することで胎土の赤みが際立つ独特の風合いを生み出します。 赤樂は、黒樂に比べて柔らかく温かみのある印象を持ち、茶席において季節や趣向に応じて使い分けられます。
このように、樂焼の製法は450年以上にわたって変わることなく受け継がれ、現在も樂吉左衛門の手によって、伝統的な方法で一碗一碗、丁寧に作られています。樂焼は、日本独自の文化であり、茶の湯の精神を体現する茶碗として、今日も多くの茶人に愛され続けています。
❙ 樂と楽
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